小説でいじめを描写するとき気を付けていること
どうもこんにちは、キノタダシ(@GtH4uTlfJ5mFvlL)です。
08『Salamander』
小説でいじめを描写するとき、いじめ加害者がバカになり過ぎていないか気を付けている。
云うまでもなくいじめをしている時点でとんでもないバカ野郎なのだが、まあ人である以上最低限の保身には頭を使うだろうということで。
件の作品、リブート前はいじめ首謀者である林がナイフを抜くまでが非常に早かった。
スラムのチンピラ顔負けの潔さ、目の前に刃物をちらつかせ金を出せと脅してくる系ではなく、大腿部を複数回刺してから金を出せと脅してくる系のガチ勢である。
とはいえ、いざ自分がこの林という加害者の立場に回ってみると、流石にこの挑発でナイフ抜くってIQ低過ぎん? と思えたので。
自分がポケットに凶器を忍ばせた脳筋だったと想定して、まあこれくらい追い詰められたら抜かざるを得ないかも──と思えるくらいには、追い詰めてみた次第。
Twitterでも触れたが、いじめ加害者の人間関係を描くのが結構好きだ。
いじめの首謀者である林の傍には、同調者である堀田という人物がいるのだが──林が陽に暴力を振るっている間、彼は何をしているかというとひたすら撮影に専念している。
これは何も彼にそれを見返してナニをするとか、そういう特殊性癖があるわけではなく、「俺は撮影というスタイルでいじめに加担しています! だからあなたの味方です」アピールをしているのである。林に。
彼は、陽に対して極力殴る蹴るの暴行は働きたくない。
自分の手でケガをさせたら逃げ道がないので。
だから、撮影係というポジションから直接手は汚さず、外部から糾弾されたそのときは「林くんに脅されましたー!!」と逃げる気満々なのである(笑)
もし自分がいじめの加害者側に立たざるを得ないとしたら──何だかんだ堀田あたりの立場に落ち着きそうだなぁというのが本音。
これまたTwitterでも触れたが、いじめが愚行であることは大前提として──強いてそれにメリットがあるとするなら、加害者グループの結束力の強化である。
が、林と堀田、そして名前がまだ出ていないもう一人──この三人組もとよりお互いを「しょうもねぇなぁ」と下に見ているので。
いじめ唯一の恩恵と云っていい結束力の強化すら獲得できる流れにない。
「08」で描かれているのは、実のところスクールカースト上位者が下位者をいじめる光景──ではなく、居場所がないやつらが居場所がないやつをいじめているのである。
うーん、地獄絵図。
スカッとジャパン見てもスカッとしない系物書きなので。
他の作品だったらあっさり描くかもわからんけど、こと『黒ノ都』に関しては物語にとって都合のいい汚物は書きたくないな──という思いがある。
どんだけ救いようのない(というか物語の進行上救う必要性もない)馬鹿で下衆でも、血の通ってるところは書きたいなみたいな。
実はイイ奴みたいな不純物をちらつかせたいわけじゃなくてね。
どの角度から見ても死んだ方が良さそうに見えるかもわからんけど、まあ生きとんねんなみたいな。
そういうニュアンスのものが表現できたらいいかなって。今回はそんな感じ。
ではまた~。