- 「小説を読む習慣に気晴らし以上の意味はない」と思っている
- 小説を読むことで得られるメリットについて知りたい
- 読書家=読書家=コミュ障の陰キャだと思い込んでいる
どうもこんにちは、キノタダシ(@GtH4uTlfJ5mFvlL)です。
web小説おすすめブログよろしく、
といった具合に、度々小説を読み書きするメリットを取り上げている当ブログですが──。
今回は「フィクションでコミュニケーション能力がアップする!」という論文をご紹介します。
小説でコミュニケーション能力がアップする

こちらはトロント大学のレビュー論文で、過去に行われたフィクションと心理に関するデータをまとめたものです。
先行研究の知見をまとめたもので、その分野で発表された研究全てに目を通さずとも近年の動向を把握できる、おトクな論文です。
著者曰く、
「読書家」と言われると、わたしたちは反射的に似たようなイメージを思い浮かべる。
気弱そうで地味なファッション。
眼鏡をかけて、いかにもコミュニケーションが不得手そうなぎこちない振る舞いをする。
しかし、こういったイメージはフェアじゃない。
とのこと。
読書家と聞くと、どうにもコミュニケーションが苦手といったイメージがありますが、実際はそんなことないよ! というのが筆者の主張となっております。

如月未緒といい、鷺沢文香といい、確かに読書家とされる文系キャラってお世辞にもコミュニケーションが得意とは云えないイメージ

そう考えると、百鬼夜行シリーズの明らか”本の虫”設定なのに学生時代からコミュ強過ぎる中禅寺秋彦面白いですね
小説をよく読む人ほど共感力が高い

たとえば、心理学者キース・オートリー、レイモンド・マー両氏が行った2006年の研究によると、
多くの著者名を知っている被験者(≒読書家)ほど、対人反応性指標の点数が高い(≒共感性が高い)
とのこと。
「フィクションの読書量が多ければ多いほど、共感力はアップする」と主張しているわけです。
ちなみに、共感力アップの効果はノンフィクションでは確認できなかったのだとか。
また、他人から云われて読書をする人ほどノンフィクションを読んでいる傾向が高かったそうです。
他人から云われて──と聞くと自主性に欠ける分、一見ネガティブな行動要因として受け取られがちですが、確かにノンフィクションって「○○さんが動画でオススメしていたから!」「○○さんが帯文を書いているから!」という理由で手に取るケースが多い気はします。
とはいえ──この結果だけでは、フィクションを読む行いが共感力を高めるのか、共感力の高い人ほどフィクションを好むのかは定かでなし。
平素より小説を読み書きする管理人の立場から云わせてもらえば、

ぶっちゃけ元より共感力高いヤツがフィクション好きなだけでは?
という気も致します。
小説をよく読む人ほど共感能力テストが好成績だった
そこで、06年当時のチームに所属していた一部研究者は09年、17歳~38歳の252人(うち175人が女性)を対象に再度実験を行いました。
今回は分析の際に、以下の要素を考慮。
- 年齢
- 性別
- IQ
- 語彙力
- ストレス耐性
- 孤独か否か
- 性格のタイプ
その結果、
小説の読書量が多い人ほど、RMET共感能力テストの成績が良かった(≒他人の感情を理解する能力が高い)
という傾向が明らかになりました。
小説(フィクション)の読書量が多い人ほど、コミュニケーション能力が高いとわかったわけです。

ここでは、抱腹絶倒間違いナシの面白トークスキルではなく、目の前の相手に共感し、深く寄り添う能力をコミュニケーション能力としています
両目の周辺部分のみを写した白黒写真を見て、写っている人の精神状態を推測するテストです。
米国等では共感性を測定するテストとして多用されています。
表情の解釈は文化によって異なるため、日本人にこのテストが有効かどうかは正直よくわかりませんが、気になる人はケンブリッジ大学の教授のRMET共感能力テストをどうぞ。
フィクションがコミュニケーション能力を鍛える

さて、web小説おすすめブログという立場上、

だから、みんな小説を読もう!
お金を払いたくないなら、無料のweb小説を読もう!
と小説をゴリ押ししたいところですが──(流れるようにリンクも張っておきますが)。
フィクションという表現からお察しの通り、特別小説にこだわる必要はありません。
- 良質なドラマを見るとコミュニケーション能力が上がる
- 良質なストーリーがあるゲームをプレイすると共感力アップ
みたいな研究結果も出ているので。
兎角、ストーリー性が高いものならジャンルは何でも構わないようです。
ちなみに、小説でコミュニケーション能力がアップする理由としては、
フィクションは現実社会のシミュレーターだ。
これは、パイロットがフライトシミュレーターで飛行のスキルを磨くことに似ている。
小説の読者は、同じように社交スキルをトレーニングできる。
フィクションは、心のフライトシミュレーターなのだ。
とのこと。
多くの人がフィクションに触れることで、長期的に見れば差別の解消や社会的価値観の変革につながるといった研究もありますし。
ドラマや映画から諸外国の内情を知り、彼らの考え方や行動原理への理解が深まる──なんて経験は誰しも覚えがあるはず。
フィクションに触れることで共感性が高まり、多様性を「受け入れる」というより「いてもいい」と思える包容力が自然と身につけば素敵ですよね。

にしても、 「フィクションは、心のフライトシミュレーター」はちょっとカッコ良すぎんか?
というわけで、小説やドラマ、ストーリー性の高いゲームが大好き! という人は、気づかぬうちにコミュ力マッチョと化している可能性大。
あとはそのコミュ力を活かす場を見つけるだけですが──これを機にPairsとか始めてみます?笑
今回はそんな感じ。ではまた~。