【文例あり】活喩と擬人法の違いを解説【表現技法の辞典に学ぶ】

エッセイ
この記事はこんな方におすすめ
  • 活喩と擬人法の違いについて知りたい
  • 活喩と擬人法に見分け方ってあるの?

活喩と擬人法の違いについて、文例を交えながら解説します。

参考文献はこちら。

活喩と擬人法の明確な区別が難しい理由も含めてお話します。

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活喩と擬人法の違いをわかりやすく解説

結論から云うと、活喩と擬人法の違いはこんな感じです。

  • 活喩=生命のないものを生命のあるものに見立てて表現する
  • 擬人法=人間以外のものを人間に見立てて表現する

文例を見てみましょう。

まっ暗く、しんかんとしてしまう真夜中にもサイレンは高く永く尾を引いて吠えた

『くれない』 佐多稲子

「サイレン」が鳴るのを「吠えた」と犬や虎並みの動物に喩えた例です。

このように生き物でない対象を、生き物並みに扱う比喩的な表現を《活喩》と呼びます

そのうち、「花笑い、鳥歌う」のように、人間でない対象を人間のように扱う表現を《擬人法》と呼んで区別します

文例の「吠える」は人間用の動詞ではありませんので、《活喩》ではありますが《擬人法》には含まれません

活喩と擬人法の違いを明確に区別することは困難

とは云うものの、実のところ活喩と擬人法をはっきり区別することは難しかったりします。

文例を見てみましょう。

水が涸れて細く──その細い溝の一部分をなお細く流れて男帯よりももっと細く、水はちょろちょろ喘ぎ喘ぎ通うていた

『田園の憂鬱』 佐藤春夫

水の流れというトピックに「男帯」のイメージが重なることで、比喩的な効果を上げています。

ここで肝心なのは「水はちょろちょろ喘ぎ喘ぎ通うていた」と表現した部分。水の流れを人間めかした表現に喩えているわけですが、「喘ぐ」という動詞は何も人間専用ではありません。犬や馬だって喘ぎます。

したがって《擬人法》だと云い切ることは難しいわけです。

火照った肌を風がなぜて通る

『水』 古井由吉

こちらの「なぜる」もあくまで人間専用に近い──《擬人法》寄りの比喩表現と云うにとどまります。犬や猫が似たような動作をすることもあり得るので。

あの猫は案外たいへんな婆さん猫だったので、それで図々しかったのだろう、と云う新説を出して大寺さんを驚かせた。パリジェンヌが婆さんでは面白くも何とも無い。

『黒と白の猫』 小沼 丹

一方、こちらの猫を人間っぽく喩えた表現も「猫」自体がすでに命を宿した有情の存在なので。命のないものを命のあるものに見立てる「活喩」として捉えることは、適当とは云えません。

《活喩》と《擬人法》は、その該当範囲の大部分が重なる一方、互いにはみ出す部分をも持つ──という複雑な関係にあるのです

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kino tadashi

心理学と科学と妖怪学をこよなく愛する物書きの端くれ。
曲がりなりにもwebライティングで収入を得ているので、端くれの自称くらいは許されるだろうという認識でいる。
webライター、ブログ等で生計を立てるべく日々模索中。
WEBライター検定3級・ビジネス事務検定・校正技能検定初級取得済。

ムラサキゴテン
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