【カクヨムgoodレビュワー厳選】おすすめweb小説5選【恋愛編】

おすすめweb小説
この記事はこんな方におすすめ
  • web小説はどちらかと云えば、純文学等のマイナージャンルが好みだ
  • いわゆる「なろう系」を除いて面白いweb小説を探している
  • 素敵な恋愛小説を書く作家さんを知りたい
スポンサーリンク

【カクヨムgoodレビュワー厳選】おすすめweb小説5選【恋愛編】

どうもこんにちは、キノタダシ(@GtH4uTlfJ5mFvlL)です。

タイトルにある通り、最近読んだweb小説作品を紹介します。

作品が公開されているサイトはいずれもカクヨム、ジャンルは「恋愛」です。

ネタバレは極力ありません。気になった作品は各作品タイトルのリンクからどうぞ

おすすめweb小説① 『あなたの肩の向こう側』

【作品情報】

『あなたの肩の向こう側』 作者 鹿島 茜

【紹介文】

あなたに抱きしめられると、必ず見てしまうものがある。

感想

以前、某所でレイ・ヴクサヴィッチの『セーター』という作品について語ったのですが──。

『セーター』についてざくっと説明致しますと、その日は彼──ジェフリーの誕生日。ジェフリーは恋人であるアリスからプレゼントされた手編みのセーターを彼女の前で着ようとするわけですが、襟ぐりがきつくてどうにも頭が出ない。

いつのまにか──セーターの内部には未知なる空間が広がっていて。ジェフリーは懐中電灯を片手に、そのひどくだだっ広い空間を探索する──というお話であります。

──どういうこと⁉ という声が聞こえてきそうなのだけれど、事実こういう話なのだから致し方なし。その後、落ちた懐中電灯を拾うのをきっかけに、アリスもまたテーブルの下という異世界に魅入られてしまいます。

EX.絶対にセーターの襟ぐりから顔を出さない彼氏VS絶対にテーブルの下から出てこない彼女『セーター』

この作品を私は「空間へのときめき、居心地への愛を描いた物語」であると考察したのだけれど。

件の作品──『あなたの肩の向こう側』もまた「空間へのときめき、居心地への愛を描いた物語」に近しいのではないかなぁと。

男女を問わず、パートナーの「自分だけを見ていて」という期待に応えるのは案外難しいもので。二人でお茶をしているとき、他愛ないおしゃべりをしているとき、睦みあっているとき。腕の中にいるときでさえ、ここではないどこかに魅入られていたりする。

もっとも、その「ここではないどこか」に思い馳せられるのは、あなたといるこの瞬間に他ならないのだけれど。

あなたの肩はブラックホールの入り口

自分だけを見つめることのない、されどその居心地を、そこから見通せる景色を愛するあなたを愛おしく思えてこそ愛なのかもしれないなぁ──とあらためて。

『セーター』はレイ・ヴクサヴィッチの短編集『月の部屋で会いましょう』や岸本佐知子編・訳の『変愛小説集』に収録されているので、よろしければ

おすすめweb小説② 『くちづけと蝶の標本』

【作品情報】

『くちづけと蝶の標本』 作者 スエテナター

【紹介文】

ある山あいの小さな村に住む僕は、麓の街の昆虫博物館で、生まれて初めて蝶の標本を見た。

同じころ、村の少女たちの間では、テレビ女優のくちづけが流行っていた。

僕もその流行りに巻き込まれるが、同じ経験をしたのは、僕だけではなかった。

感想

何かが変わったのかもしれないのです。

誰にも言わないからと告げられたあの日、いないものはいないのだと答えていれば。出棺に立ち会ったあの日、掛けるべき言葉のひとつでも見つけることができたなら。柔らかい心、というものに、手を伸ばすことができたなら。割れてしまいそうな心の感触を、確かめることができていたなら。

何かが変わったのかもしれないのです。

大人びたルオの背景に、何があったのかはわかりません。そもそも、”僕”は彼とリリーのささやかなそれを目にしているわけですから。その体験こそが、”僕”の瞳に大人びたルオの姿を映した一因であるのやもしれません。

とはいえ、リリーの──”彼女たち”のそれが単なる戯れに過ぎなかったとして、少なくともあの瞬間ルオとリリーの間には、”僕”とリリーの間には決して通うことのなかった、何かが通っていたのでしょう。

幻燈を見ている心地がしました。振り返ることは許されても、もう改めることはできないのでしょう。

あの日の自分にピンを刺して。

箱の中に仕舞っているひとときは、あなたにだってあるでしょう。見返して、無性に溜め息をつくあなたもいれば、もう眺めることはないと、頑なに埃を積もらせているあなただっているでしょう。

誰にも言わないからと告げられたあの日、彼女の名前を答えていたなら。他の子の名前を答えていたなら。内緒だよ、と人差し指を唇に当てることができていたなら。

もう、改めることはできないのだけれど──。

何処かへと追いやってしまった、埃塗れの標本箱を探しに行きたいと思います。

余談。女の子は何と云いましょうか、妖精じみた年頃があるように思うのです。お砂糖とスパイスと、素敵な何もかもでできている。そんな時期があるように思うのです。

同一作者の別作品はこちらからどうぞ。

おすすめweb小説③ 『恋を成就させるためにこの十連休、努力を重ねる友人と僕の話』

【作品情報】

『恋を成就させるためにこの十連休、努力を重ねる友人と僕の話』 作者 武石雄由

【紹介文】

今日からゴールデンウィーク。しかも今年は十連休。だが友人は意中の彼女の頼みで十連休のバイトのシフトの交代を安請け合い。しかもそのフォローに駆り出されることとなってしまった僕。

※某掲示板の企画用に、勢いで書きなぐった作品です。せっかくですのでこちらでも投稿いたします。

※小説家になろうと重複です。

感想

端的に云えば、「献身的に尽くしていれば努力は報われる」というメッセージ性のこもったサクセスストーリーです。

人は”正しい方向”に努力を続けることで成功を手にすることができる──そんな当たり前だからこそ、誰もが視界の隅っこに追いやりがちな事実をこの作品は真摯に教えてくれます。

この“正しい方向”に努力を続ける──というのがミソでして。

「無駄な努力」なんて言葉がありますが、あれは何もその人自身の才能を否定するとか、努力そのものを無碍にしているわけではなく、どれだけ時間をかけたところでそもそも努力のやり方があまりに頓珍漢だったら無駄だよねというありがたいご指摘なのであります。

たとえばの話、「よーし、夏までに腹筋割るぞー! ワンダー〇ア買うぞー!」いや、腹筋割りたいならスクワットでええやろ、腹筋消費カロリー少な過ぎひん? とかね。

「健康のためにドライフルーツを毎日食べて、フルーツジュースも欠かさず飲んでるんですよー♪」いや、明らか糖分過多やろ、フツーに生の果物食えやとかね。

努力の量もそれなりに大切ではありますが、真に望む結果に効率よく辿り着きたいのであればまず優先すべきはやり方の工夫。つまりは頭を使えということなのです。

努力をするにもまず「計略」が肝心──ということをこの作品は読者に教えてくれるのです。

余談ではありますが、「嫌なことは飲んで発散しようぜ」は正直おすすめしません。

アルコールは悲しい記憶を定着させる効果があると云われているからです。お酒は楽しい気分のときに嗜んでこそ。

とはいえ、「僕」の立場を思えば、これもまた計略の一つかもしれない。

お互いお酒が入っていたから、つい──。云い訳をつくることって大事ですからね。文字通り忘れられない夜にしたいのかもしれない。

さて、この十連休僕と友人は努力を重ねたわけですが、これから何を重ねるつもりなんですかねぇ(にやけ舌打ち)。

同一作者の別作品はこちらからどうぞ。

おすすめweb小説④ 『棗の実がなるとき』

【作品情報】

『棗の実がなるとき』 作者 Askew

【紹介文】

ある日、僕は空気になった。

朦朧とした境内で、揺れる階段を眺める日々。

「ねぇ、キミこんなところでなにしてるの?」

凛とした声が僕に輪郭を与えた。

夏の日に、少女は秘密を持ってやってくる。

棗の実がなるとき、僕は与えられた輪郭を失った――。

感想

「もうじき夏も終わるなぁ」と思った折、ふと読み返したくなったのです

八月の末とはいえ、まだまだ暑さ厳しい頃合いですから。夏を舞台とした件の作品に、また新たな発見があるのではないかと。そんなふうに思いまして。

ちゃんとした人間でなかった”僕”は、何もそこに縛られていたわけではないのです。他に居場所を知らなかったと云いましょうか、動く気力も湧かなかったと云いましょうか、そこを後にする意味を見出せなかったと云いましょうか。

動いたところで、一体何になるというのか。

どうせ、逆しまになったあの世界で、彼の手を取り直せるわけでもあるまいし。

そんな──如何に云い繕うと心地良いとは呼べぬその場所が、彼女との出逢いによって”輪郭を与えられた場所”として塗り替えられる。新たな色彩が加わる。

忘れられない、夏が始まる。

ところで──皆様は小春日和という言葉をご存じでしょうか? 

はい、晩秋から初冬の暖かな日和を指す、その意味を初めて知った十人中十人が「いや、春の季語じゃないんかい」とツッコまざるを得ない、あの小春日和にございます。

あれは、文字通り小さな春を指しておるわけでして──。

とどのつまり、秋の中にも冬の中にも、そして恐らくは夏の中にも、小さな春はひそんでいるのでございます。

春が終わって夏が来る、夏が終わって秋が来る──ではないのです。季節ごとに途切れたりはしないのです。

──首元の白いうなじには大粒の汗が光っていた。

今ひとたび、二人で泣いたあの夏に帰ろう。

四季は繋がり、移ろうものなのですから。それぞれが終わりを迎えはしないのですから。

あなたのなくしてしまったあの夏も、きっとこの夏の何処かにあるのでしょう。

同一作者の別作品はこちらからどうぞ。

おすすめweb小説⑤ 『ミルセフォルフィナ様と騎士レイデン』

【作品情報】

『ミルセフォルフィナ様と騎士レイデン』 作者 宮澄あおい

【紹介文】

天然で天真爛漫な騎士見習いの少年・レイデンは、父の宰相に命じられ、女王のミルセフォルフィナと、ともにくらすことになる。

女王様は学者肌で研究室で毒草を栽培するのが趣味という変わった方だった。

けれど、政争渦巻く混乱した国は、二人の穏やかで平和な日々を、許すことなく。

外が地獄だろうと、せめて二人の時だけは、平和に過ごしたいと願った学者肌の女王と、わんころ騎士の穏やかでささやかなる甘い日々(十話くらいまで甘々ホイップですが、十一話あたりからビターが濃くなってきます。二十一話からはカカオ90%になってきます)。

確かに恋だった」のお題からとった、女王(年上)と騎士(年下)の、箱庭物語。

【三人称・複数視点】【読みごこち:お花畑の中に爆弾仕込みました】

感想

第1話から少年騎士レイデンと女王ミルセフォルフィナが華やかな日々を送る「過去」、宰相となったレイデンであるエウリュイア侯爵がミルセフォルフィナのいる(であろう)首都に攻撃を命じる「現在」。

ギャップある二つのストーリーが、かつてレイデンの書いた手紙を転換点に進行する、読み手を逃さない作りになっています。

読者を逃さない冒頭

一応補足しておくと、何も「どうしてこうなった」と云わざるを得ない後の展開を冒頭からチラ見せしておけば読者を惹きつけられるとか、そういうお話ではなく。

たとえば「神の視点」から語られる「斯様な未来の訪れをこのとき誰一人として知る由もなかった」みたいな一節は、余程腕に覚えのある書き手でない限り、概して大事故を起こしがちです。

本作の場合は、「レイデンが父に宛てた手紙」という転換点がとても巧く、過去と現在のギャップで読者をそわそわさせる一方、「この手紙を転換点にしばらくは二つの物語が進行してゆくのだろうなぁ」という安心感を与えてくれます。

この場面転換のわかりやすさも、読者を逃さないポイントの一つではないかなと。

命の平等

ある出来事を境に、第31話からミルセフォルフィナは暴君と化してしまうのですが、ここでメタ的な読みを明かすと「ああ、もう彼女を安易なハッピーエンドに落とし込む気はないのだな」という作者の強いこだわりというか、覚悟めいたものを感じました。

さて、この”ある出来事”──ミルセフォルフィナにとって大事なある人物の死が関わっているのですが。この人物の死が中々に印象的でして。

と云いますのも、まともな遺言の一つも遺せていないのです。創作において、それ自体は特段珍しいケースでもないのですが、この”立ち位置”で遺すことを許されないというのは──「残酷」「容赦がない」「リアリティがある」。色々と解釈する言葉はあるのでしょうが。

個人的には「平等」という言葉がしっくりくるのかなと。

立ち位置によって今際の際が大いに変わる、一方の人物の命を露骨に重く見過ぎている作品ってあるじゃないですか。多分ドラマティックに退場するんだろうなと思ってた人が案の定ドラマティックに退場するみたいな。

そういう命のお約束を踏襲する作品が一概に悪いと云うつもりはないのだけれど、私はちょっとだけ首を捻ってしまう質でして。

だからこそ、本作の平等加減はいいなぁと思って読みました(笑)

小説を語る上で描写と説明を並べたとき、何となく説明が貶められがちな空気ってあると思うのですが、説明の方が読み手により強い印象を与えるケースもあるのですよね。

本作では一部登場人物の死が描写ではなく簡潔な説明で終わっているのですが、これこそ好例と云いますか。あえて説明で片付けることによって、伝わる痛切さはあるよなと。

巧緻な筆致で、されど軽やかに綴る”抗い難いもの”

本作、恐らくは読み手によって「この作品の山場ってどこ?」という質問に対する答えが異なるのではないかなぁと思います。

まさにグラウデン王国という仮想国の年代記だったので(しかし、決して年代記に記されることはないのだろうなぁという矛盾)。前述した人物の死に様も含め、良い意味で創作めいていないのです。「これがこの結末を招いた」でも「度重なる過ちとすれ違いの積み重ねがこれ」でもなく。

各々今ある立場を守りつつ最良を尽くした結果がこれ──なのですよね。

所謂「神」から失策を強いられ、悲劇に走らされたわけではない。だから、そういう抗い難いものを描きたかったのかなぁと。

なので、この恋の顛末も含めてハッピーエンドかバッドエンドかを語るというよりは、書き手の凄まじく力強い「これが好き」「こういうものが描きたい」を巧緻な筆致でまざまざと見せつけられた──というのが、正直な感想。

ちなみに私も「これは好き」です。

同一作者の別作品はこちらからどうぞ。

他のおすすめweb小説が気になる方へ

他のおすすめweb小説が気になるという方はこちらからどうぞ。

作品が公開されているサイトはいずれもカクヨム、ジャンルはバラバラです。

気になった作品は各作品タイトルのリンクからどうぞ

さいごに:おすすめweb小説を読む前に

最後にお決まりの文言を張って締め括りたいと思います。

おねがい

本体は上記リンク先の「作品」であり、当ブログはあくまでオマケです。

作品を読んでちょっとでも「面白い」と思ったら、ブックマーク・ポイント評価をよろしくお願いします。

それが、書き手の明日の糧につながるかもしれません。

ここまでお読みいただきありがとうございました😌

また、もし「自作を読んでほしい」「自作を知ってもらう機会をちょっとでも増やしたい」という方がいらっしゃれば、コメント下さい。作品を読みにうかがいます(カクヨムであれば評価も行います)

ただし、読んだ作品を100%紹介させてもらっているわけではないので、その点ご了承くださいませ。

ではまた~。

おすすめweb小説
スポンサーリンク
管理人
kino tadashi

心理学と科学と妖怪学をこよなく愛する物書きの端くれ。
曲がりなりにもwebライティングで収入を得ているので、端くれの自称くらいは許されるだろうという認識でいる。
webライター、ブログ等で生計を立てるべく日々模索中。
WEBライター検定3級・校正技能検定初級取得済。
一応カクヨムgoodレビュワーらしい。

ムラサキゴテン
タイトルとURLをコピーしました