壊せるだけ私を壊して、 『猛暑の夕空』

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【作品情報】

『猛暑の夕空』 作者 スエテナター

【紹介文】

激しい夕空の下、私は車を走らせた。

本体は上記リンク先の「作品」であり、当ブログはあくまでオマケです。

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【作品の感想】

まさに「人生の一片」と呼べるような風情ある作品だなと思いまして──。

どうしても比喩表現に目を奪われがちなのですが、特筆すべきは「この”一片”より前にあった物語」を匂わせる文章の数々ではないかと。「オーディオはとっくに切ってしまった。音楽の代わりにビビッドな景色が私の頭に飛び込んでくる」どうしてオーディオを切ってしまったのだろう。見慣れているはずの景色は何故ビビットに映るのだろう。

決して知り得ることのない”余白”に繋がる細片が、読み手の想像力を掻き立ててくれます。

ただ、「おや?」と違和を覚えた部分もありまして、それが「昔何かの工場だったらしい小さなトタンの建物が、葛の葉にすっかり覆われて朽ち果てていた」から以下に続く風景描写なのですが──。

件のシーン、まるで静止画なのですよ。”私”はアクセルを踏んでいるのですから、クレヨン画のように鮮やかなトマトやきゅうりやなすだって、入道雲のようなヤマブドウだって、あっという間に視界から消え失せてしまうはずなのに。あまつさえ自動販売機には、未だ訪れぬ夜を幻視してさえいる。

そこまで読んでふと、本当に何かから逃避しているかのような文脈だと思いまして──。

「行けるところまで架空に行き」から続く一文が、胸に刺さってくるのです。煙草を吹かす真似事をして、髪だってらしくない色に染めてしまって、壊せるだけ私を壊してしまえたら──。飛び込んでくる情景とは、こういうものかもしれない。

価値観を押し付ける気はさらさらないのだけれど、なんとなく雨に打たれたい気分ってあるじゃないですか? そういうとき、手に取りたい作品だなと思いました。

だからこれは、誰しもに訪れる人生の一片。

同作者の作品はこちら
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管理人
kino tadashi

心理学と科学と妖怪学をこよなく愛する物書きの端くれ。
曲がりなりにもwebライティングで収入を得ているので、端くれの自称くらいは許されるだろうという認識でいる。
webライター、ブログ等で生計を立てるべく日々模索中。
WEBライター検定3級・ビジネス事務検定・校正技能検定初級取得済。

ムラサキゴテン

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